院長コラム

院長が綴る診療エピソードや症例紹介

腫瘍の治療について

この度、院長コラムを新たに開設しました!

不定期に病気や症例の情報など参考になる情報をアップさせて頂こうと思います。

 

早速ですが、今回は腫瘍の治療について院長が感じていることをお話しさせていただきます。

 

当院では腫瘍科を設けているため、腫瘍症例のセカンドオピニオンが非常に多いです。

当院に来られる患者様も様々で、腫瘍(ガン)が疑わしいけどまだ診断がついていなかったり、診断がついているけど診断に不安がある方、診断がつき治療も開始している方などいらっしゃいます。

 

最近は腫瘍について多くの書籍やセミナーがあるので、たくさんの先生がその知見に触れることができ、多くの病院で動物たちの腫瘍の診断や治療ができるようになり、とても嬉しく感じています!

 

ただその反面、セカンドオピニオンで来院される患者さんの中には、簡単に治療の情報が手に入ることで、闇雲に治療されてしまっていて逆効果になっている動物を見ることも残念ながら少なくありませんし、とても悲しくなります。

 

その中で最も多いものは抗ガン剤治療です。

抗ガン剤のプロトコル(薬剤やその量、投薬する頻度や順番などの手順)は広く共有されているので、簡単に言えばそれ通りに行えば抗ガン剤治療はどこの病院でもできます。

ただ、例えばリンパ腫という同じ腫瘍でもその子たちによって状況やご家族の意向ももちろん違いますし、同じ抗ガン剤でも反応(効果も副作用も)は変わってきます。

そのため、その子とご家族によって治療方法を開始前や開始後も臨機応変に調節することが必要になってきますし、それにはそれなりの知識や経験が必要になります。

 

半端な知識で抗ガン剤治療を行われた結果、副作用だけが強く出て藁をもすがる思いで当院にかかられる方も残念ながらたまにいらっしゃいます。

 

腫瘍(ガン)は全身どこの臓器にも発生してしまうので、循環器、呼吸器、泌尿器、血液内科、消化器、・・など幅広い知識が必要になります。

教科書通りの治療ではいかないことが多く、新しい報告もどんどん出てきているので常に学んでいく必要があります。

腫瘍科を掲げている以上、常日頃から新しい知識を得るよう努力する必要があると思っています。

 

もし腫瘍でお困りの方や悩んでいる方がいらっしゃればお気軽にご相談ください。

少しでも腫瘍で苦しむ動物やご家族のお力になれるよう頑張ります。